先日、またまた相談員(受付員)にウソをつかれました。。。。(以前もこんな記事を書いたことがあります)
正確に言うと、ウソをついたのではなく相談員の知識不足で、間違った答えを返してきたのですが、これがひどかった(ノ_-。)
私は、あるIT企業から、36協定について相談を受けていました。
IT企業は、時間外労働の限度基準が適用されないので、1ヶ月の延長時間を通常であれば、上限が45時間のところを、普通に80時間と書いても問題ありません。
特別条項も必要ないです。
ただし依頼してきた会社は、「実際に何時間と書くのが良いでしょうか?あまりに大きすぎる時間を書くと労基署に睨まれるのではないでしょうか?」と心配していました。
確かに実際に、「ネットでは大きな時間を書くと労基署からにらまれる」というような情報を見ることがあります。
個人的には、そんなことは無いという考えなのですが、労基署に確認が必要だと判断して、「個人的には上記の考えだが、念のために労基署に確認しておきます。」と回答しました。
私が労基署に確認する前に、急いで提出する必要があって、どうしても心配であれば、「通常は月45時間まで、繁忙期は月80時間まで、めったにないが重大なトラブルがあったときは月100時間まで」というような内容で協定すればいいのではないかとも伝えて、その日の相談は終わりました。
そして、ある日。ちょうど別件で労働基準監督署に行く用事があったので、ついでにその相談内容についても確認してみようと思って、軽く聞いてみたところ。。。
労基署窓口員:「そんなのダメです」
労基署窓口員:「そういう書き方するのであれば、通常の会社のように特別条項を結んでください」
私:「IT業務なのに特別条項ですか?おかしくないですか?」
労基署窓口員:「いえ、そうやって出してください」
私:「でも、特別条項に記載するなら割増率について記載しないといけませんよね」
私:「そもそも、IT業務は何時間時間外労働があっても、25%増しで良いじゃないですか。特別条項に記載するなんて、おかしいですよ。」
労基署窓口員:「いいえ、IT業務でも60時間を越えたら50%増しです(キッパリ)」
(この人、絶対に間違っている!プロとしてここは引き下がるわけにはいきません!)
私:「その法律改正があったときに、厚生労働省から出された質疑応答集には、IT業務などについて今回の法改正は適用されないと書いていますよ(スマートフォンで表示して見せる)」
私:「この質疑応答はどういう意味ですか」
労基署窓口員:「・・・・・・。」
労基署窓口員:「限度時間が対象外というだけです。割増は50%です。」
私:「おかしくないですか?」
労基署窓口員:「・・・・・・。」
労基署窓口員:「専門の担当に代わります。」
となって、後ろから監督官が来ました。
そして、やり取りとしたところ、やはり私の認識が正しくて、
- IT業務は限度時間が適用されない
- 1ヶ月45時間や60時間を越えてもそんなの関係ない
- 割増率はどこまで行っても25%増しで良い
- 36協定の書き方も、私が会社に提案した内容でよい
- 36協定に書かれている上限時間を見て指導したりしない
と言う事で完結しました。
ホント窓口の人には困ったものです。
私が、労働法のプロなので上記のように噛み付いて対抗することができたのですが、一般企業の総務の方や一般社員の方が相談に来たとしたら普通は言われたことを鵜呑みにしますよね。
そしたら、その間違った答えを信じて、書類を作るわけです。
そして、間違った状態で運用に入るわけです。
何のための役所なんでしょうね。
今のところ、この状況を逃れるには、しっかり勉強して法律知識を身につけた状態で相談に行くか、お近くの信頼できる社会保険労務士に相談するかどちらかだと思います。
この話をまとめて、相談者(IT企業)に報告したところ、社長は悩んだ結果、書類の作成から提出まで私に依頼したいということになりました。
私は、「今の話を書類に落として提出するだけなので、このぐらいで依頼料を払うのはもったいないですよ」と答えたのですが
社長は「その書類を私たちが窓口に持っていって、また何か言われたら対抗できないので、お願いします」と言いました
そのように言われましたので、快諾して依頼を受託したわけです。
でも個人的には、役所にはしっかりと対応していただくのが一番良いと思います。
役所(相談員)の方!もっと頑張ってください!
※この記事で書かれている1ヶ月60時間を越えたときに50%増しになるのは現時点で大企業のみです。中小企業は対象外です。また、上限設定の法改正前のお話です。(改正後もITは改正前とほぼ同じ取り扱いですが)
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