新人の行政書士・社労士など専門職の人間が、さっさと超えないといけない壁というものがあります。
それは、役所の窓口での公務員とのやり取りについてです。
この事を改めて感じたエピソードがあるので紹介しちゃいます。
ある日、助成金センターでの出来事
私が助成金センターに申請へ行ったときのことなんですが、先客がたくさんいたので後ろの席で順番待ちをしていました。
申請窓口にはたくさん人がいたのですが、ちょっと声の大きい人が1人いました。
どうやら社労士のようなのですが、何やら揉めていたんです。
申請しているのは、母子家庭の母を雇ったときにもらえる助成金だと思いますが、この助成金申請にはその雇った社員本人の署名押印が必要な欄があるんです。
(この申請内容は嘘じゃないですよっていう誓約になる署名と押印です。)
どうも、その社員の署名か押印のどちらかが不足していたみたいなんですね。
それでも受け付けてもらおうと、ゴネていたんです。
「添付書類で母子家庭なのは間違いなく確認できるしょ。何でこれで受け付けられないの?」
ざっくりこんな感じの抗議をしてるようです。
でも、窓口の人はこの署名押印が必須なので、受理しない。
そしたら、少しヒートアップしてさらに主張を続けてるんです。
「母子家庭の定義は何なのか?」とか何とかまぁ、いろいろと難しい事を並べてごねてるんです。
そんな姿を見て、こう思うのでした。
(法律を勉強したての頃って、そういう思考に陥りやすいよなぁ。)
(そんなことしてもムダなのになぁ。)
(まだまだ青いなぁ。)
(そんな時間があったら、早くその会社に戻って署名とハンコをもらった方が速いのになぁ。。)
公務員は責任が嫌い
なぜなら、公務員(行政機関)は責任を負わされることを嫌います。
なので、許可申請書や助成金の申請書には、申請側(会社側)がその内容が正しいことを証明する欄が必ずと言っていいほどあります。
「この内容に間違いありません!」ってやつですね。
それがあれば、後で何か問題があった時に、公務員としては「申請者が申請書に対して虚偽の内容で誓約や証明をしたんだ!(うちの責任じゃない)」って言えますからね。
そのため、申請書の中にそういう欄を作って、事業主側が証明することを必須にしているんです。
国がそういった申請書のフォーマットを作成していて、それを使って申請をする。それ以外の申請書では受け付けない。そういう制度になってるんです。
という事は、どういう事か分かりますよね。
そう。この窓口で苦情を言って揉めても意味がないんです。
それに、窓口で書類を受け付けている人は、あくまでイチ職員なので何の権限もありません。
その人にどんなに文句言ってもしょうがないんです。
その職員は、その部署の課長に「絶対にここはこうしなさい!」って言われていて絶対に逆らえません。
そしてその課長は局長や厚生労働省の職員から「絶対にこうしなさい!」って言われていて絶対に逆らえません。
その窓口の職員も申請者と上司に挟まれて辛いんです。
依頼をスムーズに完了させるのが本当のプロ
私たちのような申請のプロは、上記のような点を理解して職員と良い関係を作って、申請がスムーズにいくように配慮するのがプロだと思います。
もちろん、理不尽な要求をされたときはプロとして強く主張するべき場面はありますし、そんなときは実際にきつめに主張することもあります。
だけど、そうじゃないときはさっさと引き下がって、必要なものを揃えて再提出しすれば依頼が早く終わるし、窓口とも良い関係が作れるんです。
依頼者も手続が早く終わった方が喜ぶのは当然だし、こちらも仕事が早く終わった方が楽ですよね。
公務員が絶対に引かない部分で争うなんて時間も労力もムダなんですよ。
いくらこっちが正しいと思っても、ムダなところではさっさと折れる。
行政書士や社労士には、こんな悟りが必要だと思ってます。
開業して日が浅い人は、変なプライドや絶対に自分が正しいという自信があるから、窓口でとにかく主張してしまう傾向があるんですが、さっさと乗り越えた方が良いと思いますよ!
最終的にそれがお客さんのためになるんだから。
さっき見た人にも言ってあげたかったな^^;
あっ。誤解しないでくださいね。
私は依頼者のために、引いてはダメな場面では絶対に引きません。依頼者のためにならない場面では戦います。
ただ、そんな場面と言うのは稀で、さっさと引いて必要な書類を揃え直してさっさと申請を終わらせた方が依頼者にプラスですよ~というお話でした。
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